役員賠償責任保険 5年で販売2倍に
企業役員が不祥事などで訴えられるリスクに備える賠償責任保険の販売が伸びていて、損害保険大手4社の契約は2021年度に1万件と5年前の2倍に増えたと報じられました。
役員賠償責任保険は賠償・和解金、役員個人で雇った弁護士費用などを補償する保険で、企業や役員が保険金の受取人になり、企業が保険料を負担する保険になります。
福島第一原子力発電所事故を巡る東京電力の株主代表訴訟で東京地裁が7月、旧経営陣4人に計13兆円超の支払い命令が役員個人のリスクを再認識させたと報じていました。
積水ハウスでは17年に地面師グループに架空取引で土地購入代金約55億円をだまし取られる事件が起き、経営判断に誤りがあったなどとして、当時社長だった阿部俊則元会長らは損害額と同額を会社側に支払うよう求める訴訟を株主から起こされています。
大阪地裁が5月に請求を棄却しましたが、株主側は控訴する方針で、賠償が確定したのち、この賠償額は役員賠償責任保険の補償対象となる見込みだそうです。
大手4社(東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険)の契約状況を集計すると、売上高に相当する保険料収入は年々増加して21年度は165億円と16年度比で5割弱増えたそうで、今後も非上場や中小企業の加入が増えそうです。
米保険仲介のマーシュによると世界で役員賠償責任保険の平均保険料率は18年以降、上昇が続いているそうです。